探偵エピソード」カテゴリーアーカイブ

探偵の職務質問

職務質問。それは国家権力。

職務質問。それは国民的エンカウント。

おそらく普通の人が経験するであろう、一生分の職務質問を僕は既に受けている。いや、そんなもんじゃない、ゆうに100回は超えている。それは僕の見た目が怪しいとかそういう理由では決してない。そこ、不審者っぽいとか言うな。

張り込みをしていると場合によっては長時間同じ場所にとどまることになる。すると不審に思って警察に通報する人がいる。見慣れない男が数時間も同じ場所に居たら、そりゃ今のご時世そう思うのは至極当然だ。

張り込み現場は「周辺の警戒度」というものが存在する。これは対象者を追っている時に抱かれる探偵に対しての警戒度とは異なり、近隣住民による不審者に対しての警戒度を指す。もうさんざん経験しているせいか、警察に通報されたであろう瞬間というのは、なんとなくわかる。

 

警察「こんばんわー」

小沢「こんばんわ」(挨拶しながら免許証を差し出す)

警察「あ、もしかしてお仕事?」

小沢「そうなんですよ。やっぱ通報入っちゃいましたかね?」

警察「うん。だってお兄さんもう4時間くらいずっといるでしょ?」

小沢「ええ。ちょっと手こずってまして…」

警察「どこの宅を張ってんの?」

小沢「それは言えませんね」

警察「だよね」

小沢「どこの家から通報入りましたか?」

警察「それは言えないね」

小沢「ですよね」

警察「まぁ、上手いこと言っておくよ、あんま目立たないようにね」

小沢「はーい、ありがとうございます」

 

優しい警察の方だと大体はこんな感じのやり取りだ。エリアにもよるが警察の知り合いも結構増えた。「小沢くん、また君か」という様な、名探偵コナンや金田一少年の事件簿でよく警察の人間が言う様な台詞を実際に言われることもしばしばあるのだ。

とはいえ、探偵にとっては通報されるのはあまり喜ばしい事ではない。警察官の人間性にもよるが、やり取りをしている時はかなり目立ってしまうし、場合によっては移動を余儀なくされ、張り込み場所が潰されることもあるからだ。その為、通報はできるだけ避けなければならない。

小沢独自の通報防止テクニックは色々あるのだが、一番得意としているのは【ミーちゃんファインダー】である。やり方は簡単、まずは挨拶だ。張り込み現場周辺が民家であればピンポンを押すし、家の出入りで人を見かければ躊躇なく声をかける。そして名刺を渡すのだ。もちろん本物の探偵の名刺ではない、偽の名刺だ。そこにはこう書かれてある。

 

大手ペットショップ特約店 ペット探し本舗

 

そう、僕はペットを探してる業者なのだ。そして写真を見せながら「この猫を見かけませんでしたか?」と聞く。見かけるはずがない、だって長野の祖母の家の猫だし。それでまたこいつが可愛いんだわ。(ミーちゃん)

こういったテクニックを使って、安全な張り込み環境を確保するのも探偵の腕の見せ所なのである。意外と近所のおばあちゃんとかとも仲良くなったりできるからおすすめだ。

 

しかしよくよく考えてみると探偵になる以前も、僕は職務質問を受ける事が多かった。

道端を歩いていて、警官を見かけたら、目が合った瞬間に一瞬だけ「あ!やべ!」的な表情をして、さりげなくUターンをしながら軽く逃げようとすると、わりと高確率で「ちょっと君」と呼び止められて職務質問をされる。でも別に何もないわけで、その警官をニヤリと嘲笑いながら立ち去るという高尚な遊びを行っていたせいだ。ってかこの話書く必要あったか?