現役探偵が教える尾行のコツ

「尾行」という言葉の意味は


気づかれないようにあとをつけて行くこと
                        

 by広辞苑

みなさんも、探偵といえば「尾行」っていうイメージ、持ってますよね?
そう、探偵はこっそりと対象者のあとをつけて、尾行によって決定的な瞬間をおさえていくわけです。探偵の醍醐味ともいえるでしょう。

その尾行において一番大事なのが
「バレないようにすること」です。

まぁ当たり前ですよね。
だってもし尾行がバレてしまったら
探偵は仕事にならないわけですから。

じゃあどんな風に尾行をしたら、バレないのか
そのコツを教えちゃいます。

    

尾行のコツは大きく分けて3つあります


1. 他人に成りきる
2. 観察と想像力
3. 距離の調節

まぁ尾行ってのは奥深いもんなんで、色々と注意しなきゃいけないことあるんですが、特に大事なのはこの3つです。 それぞれ順番に解説をしていきます。

    

    

1. 他人に成りきる

よくテレビとか漫画で、コソコソ尾行して相手に振り向かれたら、サッと電信柱に隠れたりするのを観たことありませんか?

でもアレは嘘です。
実際の探偵は「隠れながらの尾行」はしません。

じゃどういう尾行をしているかっていうと
「周囲に溶け込む尾行」をします。
隠れたりしないで、堂々と道を歩いて尾行するんです。

つまり尾行がバレないようにするには
「対象者の視界に入らない」のではなくて
「対象者に探偵だと思われなければいい」のです。

ってことは「その場所に居そうな人」に成りきっちゃえばいい

例えば、もし街中なら
「そろそろお腹すいたし、何か食べようかな~」
と思ってる人に成りきって
ちょっとお店の看板とか眺めてみたり

もし遊園地なら
「じゃあ次はどのアトラクションに乗ろうかな~」
と思ってる人に成りきって
ちょっとハシャいでみたり

もしオフィス街なら
「あー今日も仕事疲れたなぁ…帰ったらすぐお風呂入ろう…」
と思ってる人に成りきって
ちょっと疲れた表情で下向きながら歩いてみたり

こんな感じで、自分の人物設定というか、キャラ設定をしながら尾行すると、尾行がバレにくくなります。だって仮にそういう人達が視界に入っても、まさか探偵だとは思わないですから。

だからもう究極、自分が探偵ってことを半分忘れちゃうとベストです。笑
そうすれば、対象者が急にUターンとかしてきても、全然動揺しないでやり過ごせるようになりますから。

ちなみに僕は尾行中、対象者から「すいませ~ん」って急に声をかけられて道を聞かれたことがありますけど、自分はもう探偵じゃない設定がしっかりできてたんで全然動揺せずに「あ、はいはい。それならたぶん~…」とか言って冷静に道案内をした後、そのままその日の最後まで尾行をやりきった経験ありますからね。だから本当に大丈夫です。笑

とにかく「他人に成りきる」こと。これが尾行コツです。

     

2. 観察と想像力

尾行ってのは、ただ単に後をついていくだけではなく、対象者を観察したり、想像力を働かせる必要があります。

ところで人間の動きには「予備動作」というものがあります。

予備動作ってのは、人間が何か行動を起こす前には、その「準備の動き」ってのが基本的に存在するんです。目線、歩く速度、身体の重心、姿勢など。それらをしっかりと観察することで、対象者の行動をある程度、事前に察することができます。

例えば、対象者が急に後ろを振り返ることがたまにありますが、その振り返りにも予備動作として歩幅の変化などの僅かな予兆が存在します。それを見逃さなければ、こちらも対象者の動きにスムーズに対応することが可能になります。

たまにネットの探偵記事とかで「探偵は対象者と目が合わないように、対象者の靴を見ながら尾行します」とか書いてあったりするけど、そんな尾行をしているのはまぁ新人探偵くらいですね。しっかり対象者を観察できるようになれば、慌てる必要はなくなりますから。

観察、マジで大事です。

それと「想像力」も必要だったりします。

例えば
対象者がいきなり小走りになったら?
頻繁にスマホを弄りだしたら?
大通りの道路わきでキョロキョロしだしたら?

それらの行動をするのには【必ず】なんらかの理由があるんです。その理由を導き出す為には、想像力を働かさなければいけません。対象者の様子はもちろんのこと、周りの状況、時間帯、シチュエーション、依頼者からもらった事前情報などからも推測ができるかもしれません。

「もし自分が対象者の立場だったら…」
という風に想像力を働かせると、対象者の動きがなんとなく読めるので、尾行の安定度が飛躍的に上昇します。だから、単に対象者をボケーっと見てるだけの探偵ってのは二流なんですよ。



かの大先輩、シャーロックホームズもこう言っています。

『ただ見るんじゃない、観察しろ』

  

     

3. 距離の調節

尾行は対象者との距離が、
離れすぎたら見失ってしまうし
逆に、近すぎても怪しまれてしまいます。
だからその間の「ちょうどいい距離」で尾行しないといけません。この「ちょうどいい距離」の調節が一番難しいんですよね。

もし探偵じゃない一般の素人の方が尾行をすると、新宿とかの人混みだったら、まぁせいぜい15分くらいで見失いますからね。尾行やったことある人はわかると思うんですけど、本当一瞬で消えちゃうんですよ。 

例えば曲がり角で、対象者を追いかけて自分も曲がり角を曲がると、もう対象者の姿が見えないっていうパターンね。もう本当に絶望しますよ。笑

曲がり角での距離の調節については、まず、対象者が曲がり角を曲がったら、探偵は見失わないように一時的にダッシュをして距離を詰めます。そして曲がり角の手前で一気に減速して、あたかもずっと普通に歩いていたかの様に呼吸を整えます。それでおおよそ7~8歩ぐらい後から追いつく感じで距離を調節します。

他には、例えば駅の改札の中だったら、駆け込み乗車をされては困るので、いつもよりも対象者との距離を詰めます。逆に見通しの良い場所だったら、いつもよりも対象者との距離は離します。

こんな感じで、探偵が尾行する時の、対象者との距離ってのは常に一定ではないんです。距離を離すところは離して、詰めるところでは詰める。難しいですが こればっかりはもう自分の感覚として身につけるしかないです。現場での経験がものを言います。

  

はい、というわけで順番に解説してきました
尾行のコツ もう一回振り返っていくと

1. 他人に成りきる
2. 観察と想像力
3. 距離の調節

この3つを習得すれば
上手く尾行ができます。
みなさんもぜひ試してみてください。

   

  

いや、でもよくよく考えたら、試す機会なんてないか。笑